口臭の主な原因といわれている舌苔。
放置すると、口臭だけでなく誤嚥性肺炎を起こすきっかけになることもあるので注意が必要です。
舌みがきは方法を誤ると舌の表面を傷つけ、口臭の悪化や味覚障害の原因になることもあるため、正しい方法で磨きましょう。
この記事では舌みがきの方法や注意点について紹介していますので、参考になれば幸いです。
ひだまり歯科クリニック院長 飛田逹宏
【経歴】
- 平成15年 大阪大学歯学部 卒業
- 平成19年 大阪大学大学院歯学研究科卒業 歯学博士
- 平成19~22年 大阪市内の歯科医院にて勤務
- 平成22年6月 兵庫県芦屋市に、ひだまり歯科クリニック 開業
ひだまり歯科クリニックでは、来院された患者様に丁寧な説明を心掛け、納得頂いた上で治療を行い、患者様にも積極的に治療に望んでもらうとともに、患者様が満足してもらえる治療が提供できるよう、最善を尽くしております。
目次
正しい舌みがきの方法
舌みがきは舌ブラシなどの専用清掃用具で、3〜5回ほど舌の奥から手前へと優しく動かします。
磨くタイミングに適しているのは朝。
1日1回を目安に朝の歯磨き前に行い、必要以上に何回も磨かないように注意してください。
舌の表面は柔らかいため、間違えた方法で磨くと舌が傷ついてしまいます。
ブラシの選び方と使い方
舌みがきに使うブラシは、普段使っている歯ブラシでも代用できますが、「舌クリーナー」や「舌ブラシ」と呼ばれる専用の清掃用具がおすすめです。
舌の表面は柔らかくデリケートなので、普段使っている歯ブラシでは傷をつけてしまうことがあります。
舌クリーナーなど専用の清掃用具で、舌の奥から手前へと優しい力で動かしましょう。
3〜5回ほどくり返せば、十分に汚れを落とせます。
磨きの頻度と時間の目安
舌みがきは1日1回を目安に、朝の歯磨き前に行いましょう。
1日に何回も磨くと舌の表面を傷つけることもあるので、注意が必要です。
また、就寝中は細菌が繁殖しやすく、起床時の口腔内は汚れがたくさん付いています。
舌も同様に、細菌や舌苔が付きやすい時間帯が朝なので、舌みがきのタイミングとして朝が適しているのです。
1回の舌みがきに時間をかける必要はなく、3〜5回ほど舌ブラシなどで奥から手前へと磨くようにしましょう。
具体的な手順
舌みがきの具体的な手順は以下の通りです。
- 舌苔の付き方の確認
- 舌を磨く
- 舌ブラシの汚れを落とす
- 2と3を3〜5回くり返す
- 口をゆすぐ
舌を磨く前に、舌苔の付いている位置を確認しておきましょう。
舌を磨く際に嘔吐反射が出やすい人は、鼻呼吸を意識すると少し楽になります。
無理なく磨ける範囲で構いません。
磨いて汚れが付いたブラシは、その都度水で洗い、きれいになった状態で再度磨きます。
汚れの付いたままのブラシで磨くと逆効果ですので、気をつけてください。
最後に口をゆすぐときは、マウスウォッシュを併用すると効果的です。
殺菌成分の含まれるものは、良い菌まで殺してしまうことがあるので、心配でしたら歯科医師に相談すると良いでしょう。
舌みがきの注意点
舌みがきをする際の注意点は以下の3点です。
- 歯磨き粉を使わない
- 強く磨かない
- 適切な頻度で磨く
舌みがきは、口臭を予防するために効果的ですが、方法を間違えると逆効果。
舌を傷つけないように注意すると、効果的に舌苔を落とせますよ。
歯磨き粉を使わない
舌みがきの際は歯磨き粉は付けず、水で濡らしたブラシで磨きましょう。
歯磨き粉の大半には研磨剤や発泡剤が含まれており、柔らかい舌の表面を傷つけることがあります。
基本的には何も付けなくても舌苔は取れますが、口臭が気になったり口の乾燥が気になったりする場合は、殺菌成分や保湿成分の含まれた舌みがき専用ジェルを使うのもおすすめです。
強く磨かない
舌はとてもデリケートな組織なので、舌の粘膜や味を感じる味蕾を傷つけないように、優しく磨きましょう。
舌の粘膜や味蕾が傷つくと、汚れの溜まりやすい舌になったり、味覚障害を起こすことがあるので注意が必要です。
歯ブラシで歯を磨くときよりも、さらに優しい力で磨くよう意識してください。
もし、誤って傷つけてしまった場合、舌ブラシを当てたときの痛みが落ち着くまでの間は、舌みがきを控えましょう。
適切な頻度で
舌みがきは頻繁に行っても舌を傷つけるため、多くても1日1回ほどの頻度にしましょう。
舌苔が多く付いていると、1回の舌みがきではなかなか落ちないかもしれません。
気にして頻繁に磨くと舌を傷つけ、口臭や味覚障害の原因になることも。
毎日の舌みがきを続けると、少しずつ落ちますので根気よく続けてください。
毎食後行う歯磨きに対して、舌みがきは1日1回で舌苔を予防できます。
適切な頻度で、優しく磨くことを心がけましょう。
【口臭予防】舌みがきのおすすめ商品
舌みがきにおすすめなのは、以下の商品です。
- ブラシ型舌クリーナー
- ヘラ型舌クリーナー
- 舌みがきジェル
舌みがき専用の清掃用具は「舌クリーナー」「舌ブラシ」と呼ばれ、主に4種類あります。
その中でも使いやすいブラシ型とヘラ型の特徴をお伝えします。
舌みがきジェルは付けなくても舌苔は落とせますが、口臭や乾燥など気になる症状に合わせて使うのもおすすめです。
ブラシ型舌クリーナー
ブラシ型舌クリーナーは歯ブラシに似た作りで、舌を磨くのに適したヘッドに柔らかい毛が植えられたタイプです。
柔らかい毛は舌の細かい凹凸に入り込み、舌苔を絡めとります。
歯ブラシに似た使用感なので、初めての舌みがきにおすすめです。
隅々まで磨きやすく、汚れを落としやすいというメリットの一方で、力を入れすぎると舌を傷つける恐れがあるというデメリットも。
ブラシの素材はナイロンのものが多く、交換時期は1ヶ月が目安です。
ヘラ型舌クリーナー
ヘラ型舌クリーナーは、ヘラ状の突起で舌苔をそぎ落とす特徴があり、ゴムやシリコンなどの素材で舌を傷つけないように作られています。
舌の形状にフィットしやすく、ブラシ型よりも舌を傷つけにくいところがメリット。
ですが、舌の細かい凹凸に入り込んだ舌苔を取り除きにくいというデメリットもあります。
ブラシ型で力が入りやすい人や、舌を優しくケアしたい人におすすめです。
ヘラ型は素材によっては熱湯消毒ができるものもあり、交換時期は2〜3ヶ月とブラシ型よりも長く使えます。
舌みがきジェル
舌みがきジェルは必須ではありませんが、舌の状態に合わせて必要があれば使いましょう。
代表的な成分と効果は以下の通りです。
- 炭酸水素ナトリウム(重曹):舌苔、汚れ
- イソプロピルメチルフェノール(IPMP):口臭(殺菌)
- 塩化セチルピリジウム(CPC):口臭(殺菌)
- グリセリン:保湿
舌苔など舌の汚れが気になる場合は、汚れを浮かせて落としやすくする炭酸水素ナトリウム(重曹)が含まれているものがおすすめです。
口臭が気になる場合は殺菌効果のあるIPMPやCPCなどが含まれているものを選ぶと良いでしょう。
殺菌成分はマウスウォッシュにも配合されている商品があるので、舌みがき後のうがいも効果的です。
口腔内の乾燥が気になるなら、保湿成分であるグリセリンなどが含まれたものを選ぶと、うるおいを与えてくれます。
まとめ
- 舌みがきに使うブラシは歯ブラシでも代用可能だが、舌を傷つけることがあるので「舌クリーナー」と呼ばれる専用の清掃用具が好ましい
- 舌みがきは毎朝、歯磨き前に行い、3〜5回ほど舌クリーナーで汚れを落とすのが理想的
- 舌クリーナーに付いた汚れはその都度、水洗して汚れを落としてから磨く
- 舌みがきの注意点は、歯磨き粉を使わない・強く磨かない・適切な頻度で行うの3点である
- 舌みがきにはブラシ型やヘラ型の舌クリーナーがおすすめで、舌みがきジェルは必要に応じて使うと良い
舌みがきは口臭予防に効果的ですが、方法を誤ると逆に悪化することもあります。
正しい方法をしっかり知った上で磨くようにしましょう。
舌みがきは1回に時間をかける必要がないので、習慣化してはいかがでしょうか。
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