ホワイトニングは、なぜ歯に悪いと言われているのでしょうか?
歯に悪いと言われている理由として個人輸入の無許可の薬剤を使用することやホワイトニング剤の適量を守らないことが挙げられます。
安全性の保証された薬剤を歯科医院で歯科医師の指示のもと、正しく使用することで歯や粘膜などの口腔内に影響を及ぼすことはありません。
これから、注意するポイントを解説していきますので、リスクを未然に防げるように対処しておきましょう。
ひだまり歯科クリニック院長 飛田逹宏
【経歴】
- 平成15年 大阪大学歯学部 卒業
- 平成19年 大阪大学大学院歯学研究科卒業 歯学博士
- 平成19~22年 大阪市内の歯科医院にて勤務
- 平成22年6月 兵庫県芦屋市に、ひだまり歯科クリニック 開業
ひだまり歯科クリニックでは、来院された患者様に丁寧な説明を心掛け、納得頂いた上で治療を行い、患者様にも積極的に治療に望んでもらうとともに、患者様が満足してもらえる治療が提供できるよう、最善を尽くしております。
目次
ホワイトニングが歯に悪いと言われている理由
- 過剰な量のホワイトニング剤を使用
- 過酸化水素の濃度が高い製品の使用
- 個人輸入で無認可の海外のホワイトニング剤を使用
ホワイトニングが歯に悪いと言われている理由は、過剰な量のホワイトニング剤を使用、または、過酸化水素の濃度が高い製品の使用や個人輸入で無認可の海外のホワイトニング剤を使用することが考えられます。
海外のホワイトニング剤は、アメリカの食品医薬局(FDA)でも未認可の商品があるため、過酸化水素の濃度が35%以上であったり、品質の安全性が不明であったりするものは絶対、使用しないようにしましょう。
以下では、ホワイトニングの基本的なことから、注意するポイント、また施術できない場合の事例もありますのでカウンセリング前に把握しておくことが重要です。
ホワイトニングを始める前に担当歯科医師としっかり相談しましょう。
ホワイトニングの種類
ホワイトニングには3つの種類があります。
それぞれの使用されている化学物質と簡単な手順や効果の違いを解説します。
ホワイトニングの種類 | 薬剤の主成分 | 施術場所 | 施術方法 | 効果 |
オフィスホワイトニング | 過酸化水素水 | 歯科医院で施術 | 歯の表面に薬剤を塗布後、光を照射して歯を白くする | 効果は早いが、白さを持続しにくい |
ホームホワイトニング | 過酸化尿素 | 歯科医師指示のもと自宅で行う | 自分でマウスピースに薬剤を入れて歯に装着する | 効果は遅いが、時間をかけて浸透させるので白さが持続する |
セルフホワイトニング | 酸化チタンや重曹、ポリリン酸 | 医療機関ではないサロンや美容医院での施術 | 個人輸入や無認可の薬剤を使用して行う | 歯の色ムラや歯茎に炎症が起こるなど、安全性に問題が多い |
ホワイトニングの基本的な流れ
ここでは、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングの手順と手法など基本的な流れを比べてみましょう。
オフィスホワイトニングによる治療の流れ
- 歯科医院で診察、カウンセリング
- クリーニング(歯の表面に付着している汚れを除去)
- 歯茎の保護をしてホワイトニング剤を塗布
- ホワイトニング剤をふき取る
- 以上の過程を3回ほど繰り返して白さを確認する
「オフィスホワイトニング」は、歯の表面に過酸化水素を主成分とした漂白ジェルを塗り、レーザーの光を照射し、歯の色素を分解することで、歯を白くします。
施術時間は1回45分程度、1回の施術で3セット、合計3回の施術になります。
ホームホワイトニングの治療の流れ
- 虫歯や歯周病がないか歯科医師にて診察、治療.
- 歯並びに沿ったトレーを作製してもらう
- ホワイトニング薬剤の使用説明や注意事項を受ける
- 自宅でホームホワイトニングを指示通りに行う
- 定期的に何回か繰り返して行うことにより定着する
「ホームホワイトニング」は患者個人に合わせたマウスピースを製作し、過酸化尿素を主成分とする漂白ジェルを塗布、約2週間のうち、1日2〜3時間程度装着することで歯を白くしていきます。
ホワイトニングによる副作用
ホワイトニング薬剤に含まれる過酸化水素が歯のエナメル質の着色成分を分解して、無色化するため、歯の明度がアップして白く美しい歯になるという仕組みです。
薬剤の過酸化水素は濃度が高いほどホワイトニング効果がありますが、歯科医院で使用される薬剤の濃度は35%以下に抑えられているので、副作用のリスクはほとんどありません。
薬剤の濃度は35%以上になるとエナメル質が薄くなり、歯だけでなく歯肉などの粘膜に刺激や炎症を引き起こしてしまうのです。
ホームホワイトニングで使用される薬剤の濃度は10%以下と定められていますので安心して使用できます。
ホワイトニング治療で歯にリスクを伴なわないためには、信頼できる歯科医院や医療機関で「オフィスホワイトング」を受けるか、「ホームホワイトニング」を歯科医師の指示通りに自宅で行うことをお勧めします。
ホワイトニングがお勧めできない人
ホワイトニングに使用される薬剤の過酸化水素などは、少し刺激があるため、虫歯や欠けている歯があると歯がしみることや、歯周炎による歯肉や粘膜に付着することで痛みを伴う場合があります。
それ以外にも治療を勧められない方をここでは7項目挙げていますので当てはまる方は担当歯科医師に早目に相談しましょう。
虫歯や歯周病がある方
虫歯や歯周病を放置したままだと、ホワイトニング剤で歯がしみたり、歯肉に炎症が起こったり、悪化するリスクがあります。
ホワイトニング前に必ず虫歯や歯周病の検診を受け、治療すべき歯や歯周炎はしっかり治療を済ませておくことが大事です。
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歯が損傷・破損している方
歯に損傷や破損部分があると、かみ合わせに問題がでるだけでなく、薬剤でしみることや疼痛などで中断することなってしまっては大変です。歯が欠けたり、詰め物や被せものが破損しているものは早急に治療しましょう。
詰め物、被せ物が多い方
余りにも詰め物や被せものが多い方は、ホワイトニングしても被せものの色が異なるため、ホワイトニングは避けた方がいいでしょう。
自分自身の歯に薬剤を塗布することで白くしていくため、色に違いが出ると被せものを歯の色に合わせて全部、作り直す羽目になってしまいます。
妊娠や授乳している方
妊娠中や授乳中は過酸化水素や過酸化尿素といった成分が、まれに胎児や乳児に影響を与えてしまう可能性があるためです。万が一のリスクを考えれば、できるだけ産後の授乳が終わってからホワイトニング開始をお勧めします。
未成年の方
未成年は、まだエナメル質が弱かったり、薄かったりするため、薬剤がしみやすく痛みを伴う可能性があります。まずは、しっかりセルフケアを習得し、口腔内管理ができるようになることが先決です。
光過敏症の方
オフィスホワイトニングなどでは歯にLEDのライトの光を照射することで薬剤を浸透させます。
光線過敏症の人は、その際に粘膜などにヤケドのような症状が出るリスクがあるため、光アレルギーがある方にはお勧めできません。
※ホームホワイトニングのようにマウスピースを使用する施術であれば出来る可能性があります。
無カタラーゼ症の方
無カタラーゼ症はカタラーゼが不足する病気であり、オフィスホワイトニングにより体内に過酸化水素が残ってしまうと、進行性の口腔壊死などを引き起こすリスクがあります。
カタラーゼとは過酸化水素を分解する働きを持つ酵素のことです。過酸化水素は歯科医院で受けるホワイトニング(オフィスホワイトニング)の薬剤に含まれている成分です。
担当歯科医師に早めに申告しておきましょう。
安全なホワイトニングについて
ホワイトニングを安全に正しく行うための、治療前にまず虫歯や歯周病などチェックしてもらい、その他に体調や持病、アレルギーなどを確認します。
「オフィスホワイトニング」は、歯科医院で歯科医師が施術するため、安心ですが、
「ホームホワイトニング」は歯科医師の指導のもと、自宅でホワイトニングするため、
使用時の注意点を、しっかり確認しておきましょう。
- 説明書をよく読んで、正しく使用する
- 時間を守り、適切な量を使用する
- 歯科医師の指示通りに定期的に使用する
まずは、歯科医師と相談したうえで、自分にあったホワイトニングを選びます。
どちらにしても白くて美しい歯を保つためには安心してホワイトニングができる歯科医院で歯科医師管轄の元、安全に施術することが重要です。
まとめ
ホワイトニングが歯に悪いと言われている理由には、以下のことが挙げられます。
- 個人で海外輸入のもの/日本でも未認可のものを使用する
- 過酸化水素などの濃度が強いものを使用する
- 薬剤を大量に使用する
ホワイトニングの種類や基本的な治療の流れを確認したうえで、自分にあったホワイトニングができるよう歯科医師と相談することが重要です。
歯科医院で行う規定通りのホワイトニングであれば副作用は、ほとんどありませんが、ホワイトニングを受けられない場合や体質などもありますので、施術前にカウンセリングを必ず受けましょう。
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