口の中の渇きや唾液が出にくくなったと感じることはありませんか?
その症状は、ドライマウスかもしれません。
ドライマウスは加齢によるものと思われがちですが、現代病と言われるほどに罹患率は増えています。
ドライマウスの原因や症状など、詳しくお伝えしていきますので、ドライマウスの症状が気になるあなたの参考になれば幸いです。
目次
ドライマウスとは何か?
ドライマウスとは、唾液の量が減り、口の中が乾燥している状態のことです。
口の中が乾燥すると聞くと高齢者に多い症状のように感じるかもしれませんが、加齢以外にも生活習慣やストレスなど、さまざまな原因があることから現代病のひとつとも言われています。
日本では約800万人もの人にドライマウスの症状が出ていると言われているんですよ。
ドライマウスは、放置すると口臭や虫歯・歯周病のリスクが高まるだけでなく、食事がしにくくなるなど、さまざまな症状を引き起こします。
ドライマウスの原因と症状について
ドライマウスの原因はさまざまですが、大きく分けると3つあります。
- 加齢による身体的な変化
- 病気や内服薬による影響
- 生活習慣
ドライマウスは、加齢とともに起こる場合が多く「加齢現象」と思われがちですが、ストレスや生活習慣が関与していることも。
原因については後ほど詳しくお伝えします。
ドライマウスの症状は、主に次の5つです。
- 口の中や喉の渇きが続く
- 口の中がネバネバする
- パンやビスケットが食べにくい
- 口の中が痛い
- 味覚がおかしい
「口が渇く」くらいの症状ではあまり重要視されず、自覚症状が無いケースもあります。
症状が進むと、食事がしにくくなったり口の中に痛みが出たりすることもあるので、続くようなら歯科医院を受診し相談した方が良いでしょう。
原因1【加齢による身体的な変化】
加齢による身体的な変化は、主に次の3つです。
- 唾液腺機能の低下
- 筋力の低下
- 更年期による女性ホルモンの減少
唾液腺の機能が低下すると、唾液の分泌量が減ってしまいます。
そして、加齢とともに食事に使う筋肉は少しずつ衰え、食事内容は変化していきます。
特に柔らかく食べやすい食事が増えると噛む回数が減り、唾液の分泌量が減ってしまうことも。
また、ホルモンバランスも唾液の分泌に影響することがわかっています。
特に更年期には女性ホルモンが低下しやすく、その影響で口が渇きやすくなってしまうのです。
原因2【病気や内服薬による影響】
ドライマウスと関連する病気で多いのは、次の5つです。
- 高血圧症
- 糖尿病
- 鼻閉を伴う鼻炎
- 腎機能障害
- シェーグレン症候群
高血圧や糖尿病、腎機能障害などの持病がある場合、ドライマウスを引き起こすことがあります。
鼻閉は、花粉症やアレルギー性鼻炎による鼻詰まりを起こしている状態です。
鼻での呼吸がしにくくなるため口呼吸が増え、その結果ドライマウスになることがあります。
シェーグレン症候群は難病指定されている自己免疫疾患で、唾液腺にも影響することがあります。
また、病院で処方される内服薬の中には、副作用としてドライマウスを引き起こす薬も。
特に多いのが降圧剤で、血圧が下がると唾液を作り口腔内に押し出す圧力も低下してしまいます。
睡眠導入剤のように神経に作用するものも、唾液の分泌機能を鈍らせるためドライマウスを引き起こしやすい薬の1つです。
原因3【生活習慣】
ドライマウスは、普段何気なく行っている生活習慣が原因になることも多いです。
代表的な生活習慣には、次の3つがあります。
- 過度なストレス
- 喫煙
- アルコールやカフェインの過剰摂取
人はストレスを受けると、自律神経の働きによって唾液の分泌が抑制され、口の中が渇いてしまいます。
そして、喫煙も自律神経の働きにより唾液の分泌が抑制され、ドライマウスを引き起こす原因の1つです。
紙巻きタバコも加熱タバコも多量の化学物質を含んでいます。
その中でも歯肉の血管を収縮させ血流を減らす作用は口の中を乾燥させてしまうのです。
アルコールやカフェインには、利尿作用がありますよね。
よく飲む場合は、利尿作用により口の中が渇いてしまうので注意しましょう。
ドライマウスに効果的な口腔ケア
ドライマウスに効果的な口腔ケアには、ガムを噛むことや唾液腺マッサージが挙げられます。
ガムを噛むと唾液腺を刺激し、唾液の分泌が促進されます。
手軽にできる方法なのでおすすめですが、糖分の入っているガムでは虫歯になるリスクが高くなるため、キシリトールガムを噛むようにしましょう。
より高い虫歯予防効果を望むのなら、歯科医院で販売しているガムの方がキシリトールの配合率が高く、おすすめです。
唾液腺マッサージは、唾液腺を刺激することで、唾液の分泌を促す方法です。
ここでは、3箇所の唾液腺マッサージを紹介します。
- 耳下腺
- 顎下腺
- 舌下腺
指全体で耳の前、上の奥歯あたりを後ろから前に縁を描くようにマッサージする。
親指を顎の骨の内側の柔らかい部分に当ててマッサージする。
両手の親指を揃えて、顎の下から押す。
ドライマウスは治せる?治療方法や予防法について
ドライマウスは口の中に原因がある場合は治療できますが、生活習慣などが原因の場合は適切な治療方法がないこともあります。
口の中に原因があるなら原因を取り除く治療を行いますが、全身疾患が原因であれば、主治医との連携も必要です。
ドライマウスを予防するには、生活習慣などの工夫が挙げられます。
ドライマウスの治療方法
ドライマウスの治療方法は、原因を取り除くことから行います。
ですが、原因となるものには全身疾患や生活習慣などさまざまで、時間がかかることがほとんどです。
原因別の治療と並行して、必要があれば保湿ジェルなどのケア用品を使って対症療法を行うこともあります。
- 口呼吸の場合
- 高血圧や糖尿病などの病気と内服薬による副作用の場合
- 生活習慣の場合
口呼吸は噛み合わせが原因であれば矯正治療の必要がありますが、唇の筋力が原因であればトレーニング器具などで改善できる場合があります。
高血圧や糖尿病などの病気の場合、主治医とも連携することが必要です。
内服薬は、減量や休薬、他の内服薬に変更することで、ドライマウスの症状が改善する場合があります。
自己判断で休薬したり、減量したりするのは危険ですので、必ず主治医に相談しましょう。
ストレスなどの生活習慣は、気分転換などで原因を取り除く・緩和することが治療となります。
ドライマウスの予防法
ドライマウスを予防するには、唾液の分泌を促進するために生活習慣を工夫しましょう。
- 規則正しい生活
- ストレスをためない生活
- よく噛む
- 水分をこまめに摂取する
- 口を動かすストレッチ
不規則な生活になると、自律神経のバランスが崩れ唾液の分泌も抑制されてしまいます。
ストレスをためないようにするのは難しいかもしれませんが、上手く気分転換し、発散できるように気をつけましょう。
よく噛むことで唾液の分泌を促したり、水分をこまめに摂って口の中を潤したりするのも大切です。
アルコールやカフェインを摂ると、利尿作用から唾液の分泌量が減ることもあるため注意しましょう。
「あ、い、う、え、お」と口を大きく動かすストレッチは、唾液腺の機能を高めてくれるので効果的です。
ドライマウスの合併症について知っておきたいこと
ドライマウスはつい軽視されがちですが、放置しているとさまざまな合併症を起こすことがあります。
- 虫歯・歯周病のリスクが高くなる
- 口臭が悪化する
- 口内炎ができやすくなる
- 味覚障害を起こすことがある
- 消化が悪くなり胃腸に負担がかかる
- 誤嚥性肺炎を起こしやすくなる
唾液には、汚れを洗い流す自浄作用や殺菌効果など、さまざまな効果があり、唾液が減ることで口の中のトラブルが増えます。
虫歯や歯周病、口臭をはじめ、粘膜が傷つきやすくなることから痛みを感じたり、口内炎ができやすくなったりするケースも。
唾液が減り、舌の乾燥が強くなると味覚を感じる味蕾に影響し、味覚障害になる可能性もあります。
口の中に起こるトラブルだけではありません。
唾液が減ると食べ物を飲み込みにくくなり、消化不良を起こすこともあります。
高齢者の場合、食べ物が気道に入ってしまい、誤嚥性肺炎を起こすこともあるのです。
このように、口の中や体の健康にもさまざまな悪影響が現れるかもしれません。
まとめ
- ドライマウスとは唾液の量が減り、口の中が乾燥している状態のことで、加齢や病気、生活習慣などさまざまな原因がある
- ドライマウスの症状には、口の中や喉が渇く、口の中がネバネバするなど5つある
- ドライマウスに効果的な口腔ケアには、ガムを噛むことや唾液腺マッサージがある
- ドライマウスは口の中に原因がある場合は治療できるが、生活習慣などが原因の場合は適切な治療方法がないこともある
- ドライマウスは放置していると、虫歯や歯周炎だけでなく、さまざまな合併症を起こすことがある
「ドライマウスは加齢によるもの」と思いがちですが、現代の人々にはストレスや生活習慣などドライマウスを引き起こす要素がたくさんあります。
軽視していると、口の中だけでなく全身にも悪影響を及ぼすかもしれません。
気になる症状があるなら、放置せずに早めに歯科医院を受診し、相談しましょう。
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