ホワイトニングをするつもりが、虫歯治療を優先されたことはありませんか?
ホワイトニングは虫歯治療と並行して行えないため、一般的には虫歯治療が優先されます。
事前に歯科医による診断を受け、必要な治療は済ませるようにしましょう。
この記事では、虫歯治療が優先される理由など、虫歯がある場合のホワイトニングについてお伝えしています。
ひだまり歯科クリニック院長 飛田逹宏
【経歴】
- 平成15年 大阪大学歯学部 卒業
- 平成19年 大阪大学大学院歯学研究科卒業 歯学博士
- 平成19~22年 大阪市内の歯科医院にて勤務
- 平成22年6月 兵庫県芦屋市に、ひだまり歯科クリニック 開業
ひだまり歯科クリニックでは、来院された患者様に丁寧な説明を心掛け、納得頂いた上で治療を行い、患者様にも積極的に治療に望んでもらうとともに、患者様が満足してもらえる治療が提供できるよう、最善を尽くしております。
目次
ホワイトニングは虫歯治療後にすることが一般的
ホワイトニングと虫歯治療は並行して行えないため、虫歯治療を優先し、ホワイトニングは治療後に開始するのが一般的です。
虫歯治療がホワイトニングよりも優先されるのには、3つの理由があります。
- 虫歯が進行するおそれがある
- ホワイトニングジェルがしみるおそれがある
- 詰め物が剥がれるおそれがある
虫歯が進行するおそれがある
ホワイトニングを行うには、しばらくの期間が必要になるため、その間に虫歯が進行するおそれがあります。
ホワイトニングに必要な期間は、以下の通りです。
- オフィスホワイトニング:1〜2ヶ月間(3〜6回)
- ホームホワイトニング:1〜3ヶ月間
効果の現れ方には個人差があるため、ホワイトニングの回数や期間は前後します。
状態によっては、上記の期間よりも時間がかかることもあるでしょう。
虫歯は放置すると徐々に進行し、最悪の場合は神経を取ったり抜歯したりすることもあります。
虫歯がある状態でホワイトニングを優先すると、その間に虫歯が進行する可能性があるため、虫歯治療が優先されるのです。
ホワイトニングジェルがしみるおそれがある
ホワイトニングの薬剤には漂白効果があるため、虫歯で歯に穴が空いているとその部分から刺激を受け、しみるおそれがあります。
副作用として知覚過敏の症状が出ることもあるホワイトニング。
虫歯があれば、なおさらしみてしまいます。
そのため、虫歯があった場合にはホワイトニング前に治療する必要があるのです。
詰め物が剥がれるおそれがある
ホワイトニングの薬剤には、治療途中の歯に使われる仮の詰め物の接着力を弱め、剥がれるおそれがあります。
虫歯は進行するほどに、治療回数が増えることが多いです。
虫歯の治療では、虫歯を削った部分や根の治療途中の部分など、材料の違いはありますが仮の材料を詰めることは良くあります。
虫歯の治療とホワイトニングを並行して行った場合、この仮の詰め物を剥がしてしまい、スムーズな治療が行えないことがあります。
虫歯の治療を円滑に進めるためにも、虫歯治療が優先されるのです。
虫歯の状態をまずはチェックしましょう
ホワイトニングを行う場合、虫歯の状態や治療方法、効果について把握する必要があります。
事前に歯科医による診断を受け、虫歯の状態に応じた治療計画を立てましょう。
詰め物や被せ物などの人工の材料、神経のない歯にはホワイトニングの効果がありません。
ホワイトニングの希望があることを事前に伝えておくと、スムーズに治療を勧められます。
歯科医による診断
歯科医院でホワイトニングを受ける場合には、歯科医による診断が必要です。
虫歯や歯周病など、治療が必要な箇所を把握し、治療計画を立てます。
虫歯が完全に初期段階であることや、結婚式などホワイトニングの目的となる日にちが決まっているなどのように特別な理由がない限りは、治療が優先されます。
ホワイトニングを希望する場合、歯科医による診断を受け、ホワイトニングが始められる時期を確認しておくと良いでしょう。
治療方法の選択
歯科医は、ホワイトニングすることを考慮して、治療方法を選択します。
虫歯の進行状態で治療方法が変わりますが、治療内容によってはホワイトニング後に行うべき治療もあります。
考えられる治療方法は以下の通りです。
歯の状態 | 治療内容 |
虫歯 | プラスチックの材料を詰め、ホワイトニング後、色の差が生じた場合は詰め直す |
被せ物が必要な歯 | ホワイトニング後の色に合わせて入れる |
神経のない歯 | 別の方法にてホワイトニング(ウォーキングブリーチ) |
プラスチックの詰め物や被せ物などの人工の材料は、ホワイトニングでは白くなりません。
そのため、治療方法によってはホワイトニングが終わってから行う必要があることも知っておきましょう。
天然の歯との色の差について
ホワイトニングは天然の歯に効果を発揮するため、人工の材料や神経のない歯(失活歯)は白くなりません。
先に治療を進めると、ホワイトニング後の天然歯との色の差が生じる場合があるため、治療を受ける際にホワイトニングを希望することを伝えておきましょう。
プラスチックの詰め物なら、ホワイトニング後に色の差が生じた場合には詰め直しを行います。
前歯など白い被せ物をする場合は、ホワイトニング後の天然歯の色に合わせて入れるケースが多いです。
失活歯は時間経過とともに色が褐色・黒色へと変色することがあり、オフィスホワイトニングやホームホワイトニングでは白くなりません。
失活歯の場合は、ウォーキングブリーチという方法で白くすることも可能です。
虫歯治療後におすすめのホワイトニング方法
虫歯治療後におすすめのホワイトニング方法は、以下の3つです。
- ウォーキングブリーチ
- セラミックの被せ物
- 歯のクリーニング
ホワイトニング効果が期待できない歯に対しては、ウォーキングブリーチやセラミックの被せ物を入れることで、歯を白くできます。
どちらも自費診療となり、それなりに費用がかかります。
費用をあまりかけたくない場合は、保険診療内でクリーニングを受けると、本来の歯の色に近づけることが可能です。
ウォーキングブリーチ
ウォーキングブリーチとは、失活歯の内側にホワイトニング剤を入れて、歯を白くする方法です。
歯の色が褐色・黒色へと変化した失活歯は、歯の内側に入っていた薬剤を一時的に抜き、ホワイトニング剤を入れることで、歯を白くできます。
歯の中に入れた薬剤は通常1〜2週間ごとに交換し、効果が得られたら薬剤を取り除き、元々入っていた薬剤を戻します。
セラミックなど自費の被せ物を入れるよりも安価で白くできるところがメリットです。
しかし、効果には個人差があり、他の天然歯との白さを合わせることが難しい点はデメリットといえるでしょう。
セラミックの被せ物をする
歯を白くするには、歯を削りセラミックの被せ物を入れる方法もあります。
保険適応の被せ物は時間経過とともに変色するものもあるので、被せ物が入ったときの白さは維持できません。
その点セラミックは自費診療にはなりますが、時間が経っても色の変化がなく透明感のあるきれいな状態を維持できます。
噛み合わせの状態によっては、歯の形や大きさなどを揃えられるのもメリットの1つ。
ただし、被せ物を入れるために歯を削る必要があることを知っておきましょう。
歯のクリーニングを受ける
歯の表面の汚れであれば、歯のクリーニングを受けることできれいになります。
クリーニングでは、歯垢や歯石・着色などの汚れが落とせるため、本来の歯の白さに近づけられます。
歯石や着色は普段の歯磨きでは落とせないので、見た目もきれいになり虫歯や歯周病の予防にも効果的です。
ただし、歯の色自体は白くできないので、注意しましょう。
ホワイトニング後の虫歯予防
ホワイトニング後は虫歯予防のため、歯磨きや定期検診を欠かさないようにしましょう。
1番大事なのは歯磨きですが、汚れをできるだけ残さないように補助清掃用具を使うのもおすすめです。
また、歯磨きでは落とせない汚れのクリーニングや虫歯の有無のチェックなどは、歯科医院で定期検診を受ける必要があります。
歯磨きも定期検診も、お口の中の健康を維持するためには欠かせないものなので、ホワイトニング後に限らず行うようにしましょう。
歯磨きを欠かさない
虫歯予防に1番大事なのは、毎日の歯磨きを欠かさないことです。
最低でも朝と就寝前の1日2回は時間をかけて磨くようにしましょう。
「日中は忙しくて磨けない」という方もいると思いますが、日中は食べたり飲んだりすることで唾液が分泌され、汚れをある程度洗い流してくれます。
しかし、就寝中は唾液の分泌量が少なくなるため、汚れが残ったままになると細菌が繁殖しやすく虫歯や歯周病、口臭の原因になります。
歯磨きは1日3回磨けると理想的ですが、難しい場合は朝と就寝前に丁寧に磨くようにしましょう。
歯ブラシ以外のグッズも使う
歯磨きの際は、歯ブラシだけでなく歯間ブラシやフロスなどの補助清掃用具を使うと効率よく汚れを落とせます。
歯ブラシだけで磨いている人もいると思いますが、歯ブラシだけでは口の中の汚れの60%しか落とせません。
残りの40%は歯の間などに汚れが残ることが多く、歯間ブラシやフロスなどの併用が必要です。
また親知らずのように奥歯で歯ブラシが届きにくい部分や歯並びが複雑な部分には「ワンタフトブラシ」という先の細いブラシもおすすめです。
定期検診を受ける
歯科医院では定期的にプロフェッショナルケアを受けると、虫歯になりにくい状態を維持できます。
定期検診では虫歯の有無のチェックや、自分では落とせない汚れをクリーニングで落とせます。
初期の虫歯は症状が少ない場合が多く、気づきにくいことがほとんどです。
定期検診を受けていれば、虫歯が見つかっても初期段階の場合が多く、治療回数も少なくできます。
まとめ
- ホワイトニングと虫歯治療は並行して行えないため、虫歯治療を優先し、ホワイトニングは治療後に開始するのが一般的である
- ホワイトニングを行う場合、虫歯の状態や治療方法、効果について把握する必要がある
- ホワイトニングは天然の歯に効果を発揮するため、詰め物や被せ物などの人工の材料や神経のない歯(失活歯)は白くならない
- 虫歯治療後におすすめのホワイトニング方法は、ウォーキングブリーチ・セラミックの被せ物を入れる・歯のクリーニングの3つである
- ホワイトニング後は虫歯予防のため、歯磨きや定期検診を欠かさないようにする
ホワイトニングを始める前に虫歯の治療を優先させると、ホワイトニング時の知覚過敏を軽減できることがわかりましたね。
状態によっては、ホワイトニングをしてから被せ物をするケースもあるので、ホワイトニングを希望する場合は、早めに歯科医に伝えておくことをおすすめします。
ホワイトニング後だけでなく、お口の中の健康を維持するには、歯磨きのようなセルフケアも定期検診などのプロフェッショナルケアも欠かせません。
白くきれいなだけでなく、虫歯などのトラブルのない歯を手に入れましょう。
コメント